光合成とは
光合成とは簡単に説明すると「太陽の光と二酸化炭素と水から糖分(炭水化物)」を作る反応です。
その副産物として我々が生きるために必要な「酸素」も生み出すわけです。
仕組みを見てみましょう。
下図にあるように、植物は光を浴びるとそれに反応して水を吸い上げます。
この水は根から吸われるわけですが、もちろん水だけではなく養分も入った、いわば養水分を吸い上げています。
光合成に必要なものは「水、マグネシウム、光、二酸化炭素、チッソ」です。他にも微量要素で「マンガンや鉄」なども重要です。
光を浴びて養水分を吸い上げ、葉緑素を作り光合成をおこない、植物の生育に重要な糖分(炭水化物)を作ります。
光合成は何をしているか?
糖分は何に使われるか
ここが一番大事なポイントです。
植物の生育に必要な肥料というと「チッソ」のイメージが強いですが、厳密にいえばチッソ(硝酸態チッソ)と光合成で作られた糖分が一緒になってアミノ酸が作られ、たんぱく質が合成され細胞が作られていきます。
つまり、たんぱく質がなければ細胞が作られず、植物の生長はありえません。
光合成によってつくられた糖分はチッソと一緒になり、およそ50%が地上部の生育に、残りの50%のうち半分が根張りへ、半分が根から染み出て「根酸」となってミネラル溶解に使われます。
植物は光を浴びることで養水分を引き上げ、光合成をおこない、アミノ酸たんぱく質を作り上げ生育していきます。
チッソが過剰だと
チッソが過剰ですと光合成でつくられた糖分の多くがチッソと結びついてしまい、地上部の生育ばかりするようになります。TR率(TOP=地上、ROOT=根)というのがあり、健全な植物はTR率が1以下、すなわち地上部と地下部のバランスが同等か、地下部の生育が良い状態です。
チッソが多いと地上部ばかりが強く生育するようになるのでこのTR率は1以上となり、根張りの少ない植物となり、風にも弱くなります。
光合成を促進させるには?
光合成条件を満たす
光合成の条件として水、マグネシウム、光、二酸化炭素、窒素をあげましたが、まずはこれらをしっかりと補ってあげることです。これはつまり「適切な肥培管理」につきます。
適切な肥培管理こそが光合成を促進させる最大のポイントです。
特に注意したいのは水とチッソです。
トマトの栽培で「水を切る」というものがありますが、水を切ってしまえば植物は日が当たっていても光合成力が著しく低下します。
水を切るということは光合成や肥料供給の面から考えても植物にかかる負担は大きいと考えております。
チッソコントロール
チッソは光合成に欠かせない要素の一つですのでなければ光合成が出来ませんが、過剰にあると問題が発生します。
光合成によって得られた糖分とチッソが一緒になってアミノ酸~タンパク質へと変化しますが
チッソ過剰の場合は作られた糖分がチッソにどんどん使われてしまい、細胞を作ったり、根を張ったり、体を強化させることに使ったりすることが出来なくなります。
ただ、完璧な肥料コントロールをしても雨が毎日降れば光合成力は著しく低下し、結果的にチッソがあまってしまったり、あるいは雨でリーチング(土中の肥料が流されてしまうこと)が起きて肥料バランスが悪くなったりもします。
植物を見る、診る、看る
ですから常日頃から「植物を視る」ということが重要になってきます。
あれ、葉の色がおかしいな?なんか葉先が枯れているな?など植物は常にサインを出しています。このサインを見逃さないことが栽培の上手、下手を分けるポイントかもしれませんね。
ただどうしても天候に左右されるところではございますので、曇天や雨が続く場合は光合成能力が一日しく低下しますからそういう時は付属の肥料と「お酢」や「クエン酸」を使って補ってあげるとよいでしょう。
「お酢」は光合成によって得られる糖分に非常に似ております。(お酢 C2H3O2 光合成産物=ブドウ糖 C6H12O6 ちょうどお酢を三倍にしたものです)
お酢を使うことで、疑似光合成を与えることが出来るので、アミノ酸への変化がスムーズになるというわけです。
雨が続く場合はなかなか与えにくいですが、曇天の時などはぜひお試しください!
お酢、クエン酸の与え方
お酢は100倍程度に希釈してスプレーや噴霧器で直接植物に葉面散布で与えてください。
クエン酸は3000~5000倍に希釈してジョウロなどで土壌に直接与えてください。
それぞれの使い方が違うのは吸収効率が異なるからです。
光合成の差
ちなみに光の当たり具合が違うと生育は大きく異なります。下の写真は同じ日に植えたソラマメですが、左は建物の影になり午前中がほぼ光が当たらない環境でした。日当たりの重要性が垣間見えるかと思います。
夏になれば日が真上から指すのでもう少し条件は良くなると思いますが、それにしてもすごい差でした。